ホリスティック豆知識Blog

2019年08月10日(土)

豆知識

愛犬のためのホリスティックグルーミングレッスン 【4】耳ケア

【根拠あるやさしいグルーミング】をテーマに、犬の身体の構造や動きを研究し、グルーミングを行うトリマーの石井あゆみさん(トリミングサロン「leaf dog(リーフドッグ)」経営)に、飼い主さまに知っていただきたいグルーミングの基本についてシリーズでレクチャーしていただきます。


定期的なグルーミングは人と暮らす今の犬たちにとっては、必要不可欠なこと。
でも方法を間違えると、とても負担のかかることになります。
そして、その原因となっているのが、飼い主さまの日頃の間違った方法だったということも珍しくありません。

意外と知らなかったことや、間違って行っていたことなど、新たな気づきが満載です。
犬の身体の構造、特性を知り、そのうえで、犬が一生必要とする身体のケアを犬にも飼い主さまにも負担をかけないやさしい時間にするために、ぜひお読みください。

そのケア方法はもう古い!?

柴犬のようにピンっと立っていたり、ビーグルのように垂れ下がっていたり、犬種によって見た目が大きく違うお耳。見た目や活躍する仕事をポイントに品種改良され、犬の耳の形はさまざまに変化しています。
名前を呼べば、耳を高くしてこちらを向き、怒られてしゅんとしているときは低く垂れ下がる。耳は愛犬(愛犬)の表情としても大事なパーツです。

みなさんは愛犬の耳の穴の中をのぞいたことはありますか?暗いトンネルが見えるくらいで、その奥にある部分は全く見えませんよね。
耳は音を聞くという機能のほかに、重力の向きや加速度、平衡感覚といった身体のバランスをとる機能があります。

そんな大事な機能を持つ耳ですが、実は動物病院に行く理由の第3位に上がるほど、病気になりやすい部分でもあります(アニコム 「家庭どうぶつ白書」より)。

では、犬の耳はどのようなケアが必要でしょうか?
実は、従来よく知られていたケア方法は、耳にとってよくないかもしれないのです。
今回は、犬の耳の構造や機能からみた適切なケア方法をご紹介します。

犬の耳の構造

犬の耳と人の耳で違うのは、外耳道(鼓膜から耳の穴までの道)の構造です。
人の外耳道は「水平耳道」ですぐに鼓膜がありますが、犬の外耳道は縦穴の「垂直耳道」と横穴の「水平耳道」があります。縦穴の垂直耳道には軟骨の皺(しわ)があります。

外耳道には分泌腺があり、分泌物は、脂と汗です。(耳垢の成分はこの脂と汗と皮膚と菌などが混ざり合ったものです。)この分泌腺から出る分泌物には抗菌作用があり、外からの雑菌の侵入や繁殖を防いでくれる働きがあります。
また、耳には自ら汚れを外に出そうとする自浄作用があります。耳垢は汚れを巻き込みながら少しずつ奥から外に出るようになっています。

健康な外耳道は、臭いがほとんど無く、耳の汚れも耳垢が少し皺の間にある程度です。
また、耳の皮膚はとても薄く、獣医師によっては粘膜に近いくらいデリケートな部分だと言う人もいるほどです。完璧に耳垢を取り除こうとすると、耳を傷つけてしまう恐れがあります。

飼い主さまができること1

■健康な耳の状態を知っておく
人の場合、カサカサ耳垢としっとり耳垢の人がいます。犬も体質によって、カサカサ・しっとりなどさまざまですが、比較的しっとりした耳垢が多いように感じます。ビーグルやキャバリアなど、犬種によっては耳垢が多く、多少の臭いがある犬種もいます。
耳の状態にも個体差があるため、健康な時の耳の状態を臭いと見た目で確認しておきましょう。

■異変がないかチェックする
健康な耳の状態を知っておくことで、異変にすぐに気づくことができます。
 チェックポイント:
  ・臭い
  ・見た目(色や腫れ、湿り気など)
  ・耳垢の量、色の変化
  ・愛犬の耳を気にする行動

■異変があった場合は病院へ
上記チェックポイントにおいて異変があった場合はすぐに病院に連れて行きましょう。
初めにお話ししたように、耳はとても大切な器官が奥にあります。悪化してしまうと治療が長引いたり、他の器官にも影響を及ぼしかねません。

飼い主さまができること2

1でも十分ですが、「もっとしてあげたい!」と思う方向けの耳ケアをご提案します。

それは「飼い主さまでも取れる汚れを取りつつ、マッサージをする」というもの。ただし、耳の皮膚は非常に薄くデリケートですので、お手入れは慎重に。そして、決して無理せず、愛犬の様子をみながら行ってくださいね。

■お耳マッサージ
蒸しタオルを使用し、耳介を耳穴から耳先に向かって、毛流(もうりゅう)に沿ってゆっくりマッサージしつつ、縦穴のしわの部分の汚れを拭く。

<注意点>
・タオルを無理に耳穴に入れてぐりぐりしないように注意しましょう。
・耳介を引っ張って耳穴を広げたり、奥に押し込んだり、強く擦ったり、奥まで入れすぎたりしないように注意が必要です。
横穴の入り口やその奥の横穴は獣医師の領域になります。


耳毛は絶対に抜かない!

犬種によっては耳の穴の中に毛が生えている場合があります。耳毛には耳の中に外からの異物の侵入を防ぐ役割や、耳の奥の汚れを外に運び出す自浄作用などがあります。
つまり、毛が生えているのにはちゃんとした理由があるため、耳毛は抜かないでください!

耳の中の毛を抜くと毛穴が炎症を起こし、外耳炎になるリスクが高くなります。また毛を抜く行為は痛みを伴うので、犬はとても嫌がり、耳を触らせてくれなくなります。

耳毛の適切な処理方法は、耳の穴が少し見える程度に入り口の毛をカットしてあげる事です。また、耳の中で耳毛が毛玉になって自浄作用を妨げている場合は、そのもつれた部分だけをカットしてあげましょう。
なお、耳の中の毛の処理は大変難しいので、専用のハサミを使用します。なるべくトリマーさんに行ってもらいましょう。
(治療の一環で、薬の浸透性を上げるために耳毛を抜く場合がありますが、健康で薬を必要としない場合は抜かないようにしましょう。)

耳をかく動作は必ずしも「痒み」が原因ではない?!

愛犬が後ろ足で耳をがりがりかくしぐさをする場合がありますが、痒い場合とそうでない場合があります。というのも、耳をかくしぐさはボディランゲージの一つでもあるからです。

人が考え事をしている時、頭をかくことがありますよね。それと同じで、犬も何かを考えていたり、気持ちを落ち着かせたかったりする場合、耳をかくしぐさをする場合があります。
こちらを見ながら耳をかくしぐさをしたり、ブルブルっと身体を震わせたり、大きく鼻息を吐いたり。さまざまなボディランゲージを組み合わせて飼い主さんに何かを伝えようとしています。

犬が耳をかく前後の行動と、飼い主様の行動をよく観察してみてください。
もしかしたら、犬は何かに困っていたり、どのように行動してよいか迷っていたり、あるいは気持ちを落ち着かせたいと思う何かがあったのかもしれません。もし、耳の中に異常がなく、獣医師に問題がないと言われたら、犬が発する言葉を聞いてみましょう。

犬の耳は「聞く」だけではなく、「感情や言葉を表す部位」と言っても良いのかもしれません。なんだかとっても愛おしい耳!大事にしてあげたくなりますね。

 

<バックナンバー>

愛犬のためのホリスティックグルーミングレッスン 【1】爪切り
愛犬のためのホリスティックグルーミングレッスン 【2】ブラッシング初級
愛犬のためのホリスティックグルーミングレッスン 【3】ブラッシング中級・上級

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◆リーフドッグ石井 あゆみ
ホリスティックケア・カウンセラー
JKC A級トリマー
日本ペットサロン協会アンバサダー

専門学校を卒業後2つのお店で修行をし、その後、2009年27歳で起業しleaf dogを開業。
論理的にとことん優しいグルーミングを日々研究している。
国内外のコンテストでの受賞暦も多く、高い技術を持つ。
業界誌トリムの連載を2017年8月号から開始。


ホリスティックケア・カウンセラー養成講座では、「犬と猫に負担のないグルーミング」(ブラッシング、歯ブラシ、爪切り、シャンプーなど)を学べます。

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