ホリスティック豆知識Blog
2021年01月07日(木)
愛犬のためのホリスティックグルーミングレッスン 【11】パピー期のケア
【根拠あるやさしいグルーミング】をテーマに、犬の身体の構造や動きを研究し、グルーミングを行うトリマーの石井あゆみさん(トリミングサロン「leaf dog(リーフドッグ)」経営)に、飼い主さんに知っていただきたいグルーミングの基本についてシリーズでレクチャーしていただきます。
定期的なグルーミングは人と暮らす今の犬たちにとっては、必要不可欠なこと。
でも方法を間違えると、とても負担のかかることになります。
そして、その原因となっているのが、飼い主さんの日頃の間違った方法だったということも珍しくありません。
意外と知らなかったことや、間違って行っていたことなど、新たな気づきが満載です。
犬の身体の構造、特性を知り、そのうえで、犬が一生必要とする身体のケアを犬にも飼い主さんにも負担をかけないやさしい時間にするために、ぜひお読みください。
今回は季節に注目して、グルーミングについてお話いただきます。
【Lesson11:パピー期のケア】
パピーのお手入れの目的は、さまざまな初めての事に触れ、経験させることです。
犬にとってグルーミングは一生必要なものとなります。高齢になってもグルーミングが楽しいものとなるように、パピーの時期から様々なことを経験させることが大切です。
そこで今回は、パピー期のお手入れの方法を、成長段階に合わせてご紹介します。
注意点を理解し、ご自身のパートナーの成長に合わせて行ってください。
生後3~4か月:新しい刺激に慣れる
ブラッシング
お手入れしなきゃと思うと、いきなり気合を入れてブラッシングを始めてしまいがちですが、ブラッシングにはステップがあります。
最初のステップは、体に何か物が触れるという刺激を体験させることです。
手で犬の体を触った時、犬はどのように反応しますか?オーナーが触ろうとするとじゃれて歯を当ててくる場合もあると思います。狙った部分に触ることができず、ヤキモキするかもしれませんが、それでOKとします。子犬は体全体を使って遊ぶことやじゃれることが大好きなので、たくさん体を触ったりなでなでしたりすることをまずは楽しんでください。
足元のお手入れとドライヤー
この時期は、犬が自分の排泄物を踏んでしまうなど、何かと汚れることが多いと思います。そんな時は、桶にためたお湯で汚れた部分を洗ってあげましょう。ぬるま湯で湿らせたタオルで拭いてあげるのもいいですね。
濡れた毛を乾かすのも、嫌がる場合は無理に行いません。ドライヤーの音に敏感に反応してしまう犬は、少しずつ練習が必要です。オーナー自身の頭を乾かす時に犬をそばに連れていき、音を聞かせて怖いものではないというのを見せるなどし、まずは音に慣れさせましょう。
外の刺激
この頃は、ワクチンスケジュールの関係でお散歩に行けないと思われている方が多いと思いますが、犬が多く集まるようなところに行くことは避けていただきつつ、外の空気の臭いや音は体験させてほしい時期です。獣医さんが外には連れていかないようにと言うのは、他の犬と触れ合ったり草むらやネズミがいそうな所に入っていったりすることによる、さまざまな感染のリスクを懸念しているからです。
そのリスクが低い状態であれば、この時期にお家の中以外の刺激に触れさせることは、とてもとても大切な事です。
はじめは震えたりするかもしれませんが、毎日少しずつ抱っこで連れ出すことで慣れてきます。この「慣れ」が将来のその子の力になります。
4~8か月:少しずつできることを増やす
ブラッシング
飼い主様と様々なコミュニケーションが取れるようになってきたら、ブラシをもってみましょう。やわらかく、少し毛足が長めの天然毛ブラシ(獣毛ブラシ)がおすすめ!柔らかいブラシが体にあたることは、とても気持ちがよく、はじめての犬も受け入れやすいものです。
ブラシにじゃれてきたとしてもOK!ブラシをゆっくり動かします。犬がブラシを気にする場合は少し速度をゆっくりめにするか、ブラシの圧を弱めに変更し、好みの刺激を探るようにしましょう。
お散歩後の足元のお手入れ+α
リードを付けてお散歩を楽しめるようになる頃かと思います。
お散歩後にはブラシでのホコリ取りを習慣にしても良いかもしれませんね。
ぬるま湯で濡らしたタオルで顔を含めた全身を拭いてあげるとなお良いと思います。
目の周りや耳穴の周辺まで様々な所を触ってあげることはとっても良いことです。
汗や皮脂等が出て耳垢が溜まりやすい場合がありますので、耳穴の中をのぞき、汚れが溜まっていたり、臭いがするようでしたら、獣医さんに診てもらいましょう。
顔を拭きながら、唇をめくって口腔内をチェックしてみるのもいいと思います。唇をめくられたり、歯茎を触られる刺激にも慣らしていきましょう。
8~10か月:パートナーに合わせたチャレンジ
ブラッシング
ブラシにも少しずつ慣れてくる頃かと思います。少し硬めで粗目の天然毛ブラシに変更し、本格的に梳かすことにチャレンジしても良い時期だと思います。ブラシの先が皮膚にあたることが気持ちよくなってくると思います。(スリッカーブラシの場合は肌に当てないように注意してください)
新陳代謝が活発なため、黒い毛の犬は細かい白いフケが気になる時期かと思います。獣医さんに診てもらい、酷く痒がったり赤みやただれがあったりということが無く、問題ないと診断されれば、天然毛ブラシでブラッシングしてあげてください。
骨格がしっかりしてきて、精神的に落ち着いてくる頃だと思います。しっぽや足先など、敏感な部分のブラッシングにもチャレンジしてみてください。
しっぽや足は強く握らず、下から支えてあげる程度で良いです。
犬が遊びたい時間はさけ、散歩帰りやおもちゃで十分に遊んだ後のリラックスタイムがおすすめです。
■ポイント
体を拭くことやブラッシングをすることが習慣となってきたら、ついつい褒めることを忘れがちになってきます。お手入れ中もそうですが、終了後にも声がけをしてあげてください。
本格的に歯磨きにチャレンジ!
この時期は歯の生え変わりが終わるころです。歯磨きにもどんどんチャレンジしてみてください。まずは歯磨きシートから始め、徐々にブラシを使った歯磨きをしてあげましょう。ブラシの圧が強くなりすぎないように気を付けましょう。ブラシの圧は20~30gがよいと言われています。計りで測ってみるのも面白いと思います。
7か月を過ぎても乳歯が残っていたら、獣医さんに診てもらい、手術で取ってもらいましょう。
サロンにチャレンジ
ワクチンスケジュールをふまえつつ、なるべく早い段階からサロンへ連れていきましょう。子犬の頃にサロンに行くことは、サロンの音や家族以外の人に体を触られることに慣れてもらうために大切なことです。
爪切りや足の裏の手入れは、最初に嫌な経験をしてしまうと、一生嫌がってしまうという悲しいことにもつながります。それを防ぐためにも、パピー期はまめに通い、プロの手で丁寧に慣らしを行ってもらうことが大切です。
また、長毛種や足の裏の毛が伸びる犬種の場合は、お家の中ではしゃいで走り回る時に滑ってしまい、足を傷める危険性があります。しっかりとした筋肉や骨格の形成を助けるためにも、お手入れに通いましょう。
1歳になるまでお家を出たことが無く、1歳を超えて初めてサロンに来る犬の中には、緊張でハアハア呼吸が早くなったり、よだれや鼻水をたらしたり、緊張が頂点になり疲れてお家に帰ったら食事もせずに爆睡したり…という子もいます。そのようなパートナーは、高齢になってもなかなか慣れないため、心臓やそのほかの内臓疾患も抱えると、サロンでのお手入れが難しい状況になる場合もあります。
特に長毛の犬は一生の手入れが必要となりますので、将来のことを考えて早めに様々な刺激を体験させてあげましょう。
全てが始めて記念日!
パピーには様々な刺激を体験させてあげることが大切です。
はじめて記念日を沢山作って、写真やノートに納めておくと、将来きっと良い思い出となると思います。
犬の性格によっては、イヤイヤしたりわがままになったりする子もいると思いますが、「グルーミング大好き!」を目指して、オーナー一人で無理をせず、サロンのトリマーさんや獣医さん、そしてトレーナーさんの力も借りながら一つずつステップアップしていきましょう!
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◆リーフドッグ石井 あゆみ
ホリスティックケア・カウンセラー
JKC A級トリマー
日本ペットサロン協会アンバサダー
専門学校を卒業後2つのお店で修行をし、その後、2009年27歳で起業しleaf dogを開業。
論理的にとことん優しいグルーミングを日々研究している。
国内外のコンテストでの受賞暦も多く、高い技術を持つ。
業界誌トリムの連載を2017年8月号から開始。
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