ホリスティック豆知識Blog

2020年05月14日(木)

豆知識

愛犬のためのホリスティックグルーミングレッスン【7】シャンプー(前編)

【根拠あるやさしいグルーミング】をテーマに、犬の身体の構造や動きを研究し、グルーミングを行うトリマーの石井あゆみさん(トリミングサロン「leaf dog(リーフドッグ)」経営)に、飼い主さんに知っていただきたいグルーミングの基本についてシリーズでレクチャーしていただきます。


定期的なグルーミングは人と暮らす今の犬たちにとっては、必要不可欠なこと。
でも方法を間違えると、とても負担のかかることになります。
そして、その原因となっているのが、飼い主さんの日頃の間違った方法だったということも珍しくありません。

意外と知らなかったことや、間違って行っていたことなど、新たな気づきが満載です。
犬の身体の構造、特性を知り、そのうえで、犬が一生必要とする身体のケアを犬にも飼い主さんにも負担をかけないやさしい時間にするために、ぜひお読みください。

今回は「シャンプー」についてご紹介します。

 

シャンプーの目的

犬のシャンプーは、美容や清潔を守るためのケアという目的と、病気のケアという目的を持ちます。

美容や清潔を守る

犬は人に改良されて本来の「イヌ」という形から大きくかけ離れている犬種が多くいます。骨格や大きさもそうですが、毛の状態も大きく変化しています。どの犬種もそれぞれ特徴があり、それぞれにあった美容が必要になってきます。

また、犬は人の生活の中で一緒に暮らすことが多くなりました。特に近年では室内飼育が推奨され、大きな犬でも室内飼育をするご家庭が増えてきたように感じます。そんな中で、犬が汚れた状態で家の中にいるという事は、人の衛生を確保するという意味でも良くありません。長毛の犬は洗わずに汚れた状態の毛は毛玉になりやすく、ブラッシングもしにくくなります。毛玉は犬にとって苦痛となります。

また、犬を洗わずに放置しておくと、何とも言えない「犬臭さ」が出てきますよね。
私は意外と嫌いじゃないこの犬臭さ……。でも、室内で一緒に暮らしていると、どうしてもこの犬臭さを取り去りたいもの。

この臭いの元は汗ですが、皮膚のバリア機能が低下した犬はかいた汗で痒みが生じる場合もあるようです。
そうした時に有効なのがシャンプーです。

また、シャンプーやカットをして、犬をかわいく清潔にしておくことは、犬と触れ合う頻度が上がると思います。犬は人に可愛がられることが最大の喜びです。不潔にしていれば、なでたり、抱きしめたりする機会は減ります。更には、犬が好きな人ばかりではありません。不衛生な状態での飼育は、社会的にもあまり良いことではありません。

つまり、犬を清潔に、可愛くしておくことは人にとっても犬にとっても大切なことと言えます。

病気のケア

アトピー性皮膚炎など、皮膚の疾患を持っている犬にとっては、体についたアレルゲンを常に取り除いてあげる必要があります。また、様々な要因で皮膚疾患を繰り返してしまう犬たちも、シャンプー療法で外側からのケアが必要になってくる場合もあります。ただ、病気のケアとなるシャンプー療法は、その犬の状態に合わせたシャンプーや薬のプログラムが必要となります。


どんなパートナー(愛犬)にもシャンプーは必要ですが、今回はご自宅でオーナー(飼い主)にしていただく「美容と清潔を守るシャンプー」について、お伝えします。

 

シャンプーの選び方とポイント

私のお店では、常時15種類前後のシャンプー剤を用意しています。
どんな道具もそうですが、シャンプーも「万能なもの」はありません。体質や年齢、季節などによってお肌のコンディションは変わるため、今の肌の状態を見てシャンプーを変更できるよう、多くの種類を用意しています。

ただ、ご自宅でオーナー(飼い主)がシャンプーする場合はたくさん用意できないため、シャンプー選びはとても難しいと思います。

おすすめは、いつも利用しているトリマーさんに聞いてみることですが、サロンを利用されない場合や、自分で選びたいという方に、当店のシャンプー選びを参考にした選び方をご紹介します。

 

ポイント

【1】安全性
【2】汚れの強さと洗浄力
【3】肌の状態
【プラスワンポイント】毛の仕上がり状態

【1】安全性:全成分の表示がある

シャンプーの成分、特に界面活性剤については、情報が溢れ、何を参考にすれば良いのか悩むところだと思います。
この成分は良くない、この成分は良い、という風に書いてあるものもありますが、何を基準にその良し悪しを決めているのかが不明確なものが多いのが現状です。

論文や書籍で調べ勉強した私の結論としては、犬のシャンプーに使用されている界面活性剤は安全なものと考えていいです。
ただし、注意が必要なのは、パートナーによっては合わない場合があるということです。

例えば、ある成分にアレルギー反応を起こす犬に対し、その成分が入ったシャンプーを使用すれば、痒くなったり、赤くなったりするかもしれません。それは、たまたまその犬に合わなかっただけで、必ずしも他の犬に同じような症状が出るとは限らないのです。

もし、使用した全頭に何らかの肌トラブルが起こるシャンプーがあるとすれば、そもそも販売前の試験がちゃんとできていない粗悪な製品です。きちんとしたメーカーならば、安全性などを確認するための試験を必ず行っていると思います。

「安全だけど、体質に合うかどうかわからない」ということを前提とすると、大切なのが、全成分を表示しているかどうかという点です。なぜなら、体質に合わない特定の成分を避けてシャンプーを選ぶことができるからです。

つまり、安全性の視点では、全成分の表示をしているメーカーさんのシャンプーを選択することが大切です。

 

【2】汚れの強さと洗浄力

次に大切なのが、「汚れに合った洗浄力のシャンプー」を使用するということです。
基本的に、界面活性剤は脂汚れを落とすことができる成分です。その能力を洗浄力といい、洗浄力が強い種類の界面活性剤は、よく脂を落としてくれます。洗浄力が弱い界面活性剤は、強い脂汚れ落としには不向きとなります。
体質や飼育環境、シャンプーの頻度によって、そのパートナーにどのくらいの汚れがあるかを始めに確認します。その汚れの強さや種類に合う洗浄力のシャンプーを選びます。

 

■汚れについて

犬についている汚れとはどのようなものがあるのでしょうか?
大きくは外的要因と内的要因の汚れがあり、それぞれに脂(油)汚れと、水溶性の汚れがあります。

 

◎外的要因の汚れ:ホコリ、土、花粉、尿、便、食べ物など
◎内的要因の汚れ:皮脂、汗、皮膚片、目ヤニ、よだれ、雑菌など

 

内的要因の汚れのうち、「汗」について詳しく説明します。

人も犬も、汗線としては「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があります。
エクリン汗腺から出る汗の成分はほとんどが水で、ミネラルが含まれており「水の汗」と言われています。
アポクリン汗腺から出る汗には、脂質、タンパク質、アンモニアなどが含まれており「脂の汗」と言われています。

この2つの腺ですが、犬と人では大きく違う所があります。

エクリン汗腺は、人は全身にあり、暑いときに水の汗をかきます。犬は肉球と鼻にあります。
アポクリン汗腺は、人はわきの下や耳の後ろや外陰部周辺にあり、緊張した時に脂汗をかきます。犬は全身にあります。

汗をかくと、皮膚の上の常在菌が汗を分解することで臭いを発しますが、犬はこのアポクリン腺が全身にあることで「体臭」に繋がります。常在菌のバランスが崩れやすい肌バリアが弱い犬やアトピー体質の犬などは、汗の成分によって痒みを引き起こす場合があります。

一方、犬のアポクリン腺から出る脂の汗は、体温調整の機能を果たしており、また、皮膚を守るための皮脂膜の成分でもあるため、とても大切です。つまり、シャンプーでこの皮脂膜を取りすぎてしまうと、シャンプーが皮膚への刺激となったり、乾燥や肌荒れにも繋がったりするため、注意が必要です。

 

■洗浄力について

洗浄力は、シャンプーの成分や濃度によって決まります。

 

◎成分
一般的に、高級アルコール系という部類の成分は、洗浄力は比較的強く、泡切れも良いものが多いです。ですが、洗浄力が強いと洗いすぎにより、皮膚を守る皮脂膜をも洗い流してしまい、皮膚への負担となる場合があります。ですので、洗浄力の強いシャンプーで頻繁に洗うことはあまりお勧めしません。


アミノ酸系という部類の成分は、洗浄力や皮膚への刺激性も比較的マイルドなものが多いです。皮膚が乾燥しやすいパートナーの場合は、アミノ酸系のシャンプーがお勧めです。
成分名をインターネットで検索すると、どの部類にあたるのかがわかると思います。あくまでも参考までに調べてみてください。製品によって洗浄力は様々なので、トリマーさんに聞くか、お友達同士で使用した感想などをシェアし合っても良いでしょう。


◎シャンプーの濃度
シャンプーの洗浄力は、使用時の希釈濃度によっても変わります。もちろん原液よりも、薄めれば薄めるほど、洗浄力は弱まります。

適切なシャンプー濃度は、水で薄めた際に、泡が立つかどうかで判断します。水で薄めてスポンジで泡立ててみてください。その時に泡が立つ濃度でシャンプーしてあげましょう。私は2倍~200倍の間で薄めて使用しています。

 

■シャンプーが合わなかったとき
もし、シャンプーを使用してお肌に合わなかったとき、シャンプー成分を見てください。次にシャンプーを購入する時に、同じような成分が入っていないものを選択してください。使用していて、肌荒れや痒みが出た場合はすぐに中止し、シャンプー剤を変更し、場合によっては獣医師に相談する事も必要です。

 

【3】お肌の状態

汚れと洗浄力と合わせて確認してほしいのが肌の状態です。肌荒れやフケなどが無い事を確認します。肌荒れなどがある場合は、シャンプー選びは慎重になります。下記のようなポイントで状態をチェックし、場合によっては獣医師の判断を仰ぐことも必要です。

 

■赤みやフケやただれが無いか
赤みやただれがある時は、シャンプーで悪化する場合もあるため、シャンプーの前に獣医師の診察を受けてください。


■以前にシャンプー後に痒みやフケが出たことはないか
ある場合は、シャンプーを変更しましょう。


■肌がベタベタしているか、乾燥気味なのか
部位によって乾燥やベタベタの度合いが異なる場合もあるので、確認します。
背中や尾の付け根や耳は、比較的皮脂が多くベタベタしがちで、腹や喉元や内股などはカサカサしがちです。
健康な犬が肌のバランスを崩す一番の原因は「乾燥」です。乾燥によって痒みがおき、掻いてしまうことで赤みやただれの原因となるため、乾燥している部分は特に注意しましょう。
乾燥が気になる場合はシャンプー後に保湿剤を付けることも大切です。皮膚を保護し、肌荒れを予防してくれます。


■毛の状態もチェック
毛玉がある状態でシャンプーをすると、毛玉の奥の皮膚が洗いにくかったり、すすぎが十分にできないことがあります。
毛玉はできる限りシャンプー前にブラッシングで取り除くか、バリカン等で刈る事をお勧めします。
また、換毛期で下毛が抜けずに溜まっている場合も、事前にブラッシングをして取り除くことでシャンプーが全身に行き渡りやすくなります。
毛の量が多いパートナーは、泡切れの良いタイプのシャンプーを使用すると、すすぎが楽になります。

 

【プラスワンポイント】毛の仕上がり状態

もし肌に不安や問題が無ければ、

◎フワフワ、サラサラなどのスタイリング
◎香り

など、オーナーの好みでシャンプーを選択しても良いと思います。犬には香りがあろうが、フワフワになろうが関係ありませんが、オーナーの好みのシャンプー剤を使用する事で、より犬がオーナーに愛される機会が多くなると、私は考えます。


■犬にとって香りとは

「犬は嗅覚が鋭いので、香りのあるシャンプーは使用しないほうが良い」という意見があります。ですが、私は、犬の鼻が良いというのは「様々な臭いを嗅ぎ分けられる」ということであるため、強い香りが犬にとってよくないとは思っていません。
それよりも、犬にも香りの好みがあるということを知っておくほうが良いと思います。

犬も好きな香りと苦手な香りがあります。犬が嫌がる素振りが無く、飼い主様が良い香りだと思うなら、私は香りがある程度あっても良いと思います。

以上がシャンプーの選び方ですが、ごはん選びと同様に、さまざまなことを考えながら選ぶ必要があります。一度合ったシャンプーが見つかれば、肌質が変わらなければ、シャンプーの濃度や頻度を調整して使用することができます。
根気よく選んでいただければと思います。

 

次回はシャンプー後編「シャンプーの方法」をお届けします。お楽しみに!

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◆リーフドッグ石井 あゆみ
ホリスティックケア・カウンセラー
JKC A級トリマー
日本ペットサロン協会アンバサダー

専門学校を卒業後2つのお店で修行をし、その後、2009年27歳で起業しleaf dogを開業。
論理的にとことん優しいグルーミングを日々研究している。
国内外のコンテストでの受賞暦も多く、高い技術を持つ。
業界誌トリムの連載を2017年8月号から開始。

 

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