ホリスティック豆知識Blog

2019年09月21日(土)

豆知識

犬の「困りごと」が深刻化する前に。対策法【2】噛みつき

愛犬との暮らしの中での困りごととして、特に問題が深刻化するのが「吠え」や「噛みつき」などの行動ではないでしょうか。ドッグトレーナーや老犬介護の資格を活かして活躍中のホリスティックケア・カウンセラー小口美奈さんが、原因と対策について詳しく解説します。

 


この記事は、吠えや噛みつきなどの「飼い主さまにとっての困りごと」の原因と対策を知る人を1人でも増やし、「飼育放棄」といった最悪の状態を防ぎたいという思いで執筆しました。できれば飼う前から情報を知っていただくこと、またはパピー期のうちに関係修繕をしていただけることを目指し、この記事を読んだらぜひ周りの飼い主さまや、犬を飼う前の人に伝えていただければ幸いです。

前回は「吠え」をテーマにお届けしました。今回は「噛みつき」です。

【2】噛みつき

1.噛む行動には理由がある

犬が噛むという「攻撃行動」の原因は一つではなく、多くの要因が絡み合っているため、改善するにはそれぞれの要因に合った対応が必要です。飼い主さまが愛犬をよく観察し原因を追究しなければ、攻撃行動への対応はできません。「犬が噛む」ということを細かく分析することで、原因がわかってくると思います。

 

なお、一律に「犬が噛む行動=行動問題」という考え方は間違っています。

例えば噛んでいるのが紐(ひも)のおもちゃだったら、人は行動問題とは思わないですよね。また、パピーの時、飼い主さまが望んで自分の手をおもちゃにして噛ませていた場合、それも行動問題とは言えないです。

一般的に「行動問題」と言われる行動は、「人が問題だと感じる行動」。犬にとっては正常な行動も、人が不愉快だと思えば行動問題となってしまいます。よって、一律に「行動問題=異常な行動」とは言えません。

 

2.子犬の噛みつき

子犬は遊び噛みが多い分、「遊び」か「攻撃」かを見極めることが重要です。

子犬は欲求が高く、また何でも口に入れて確かめようとします。それは子犬にとって大切な発達段階で、「口で物を噛む」「口を使って遊ぶ」などは正常な発達行動です。人間の赤ちゃんの手と同じだと例えるとわかりやすいですよね。赤ちゃんはコミュニケーションで口を使い、目の前に出された手を口で捕えようとします。ただ、子犬の歯は鋭いので、手に当たれば傷になってしまうことも…。

 

また、何でも楽しいと感じる子犬時期ですが、自分の身を守る「防衛本脳」の噛みもないとは言えません。

特に初めて経験する行動に対しては、噛むという行動が起こりがちです。例えば「抱っこすると噛む」「ブラッシングをすると噛む」「爪切りをすると噛む」「足を拭くと噛む」といった具合です。このような防衛的な噛みをする犬は、成犬時の「本気噛み」に発展する率が高いように思います。

 

犬にとって「何かを守る」「何かを捕まえるために噛む」「自分の身を守るために噛む」と言う行動は、決して異常な行動ではありませんが、人間社会で生活をしていくには良い行動だとは言えません。

 

3.噛みを抑制するために

パピー期にきちんと噛みの抑制をしていない犬が、成長に従って「噛んだら嫌なことを回避できる」という学習をしないよう、普段から犬の行動を観察することが必要です。

大切なのは、犬の噛みをやめさせることではなく、「噛む理由を理解すること」です。遊び噛みや運動不足が原因の噛みに対しては、犬の欲求を満たしてあげることが先決です。探索や臭い嗅ぎなどの欲求も満たしてあげましょう。その欲求を満たしたうえで、「噛んでもいい物を噛ませる」「噛んではいけない物は噛ませない」ようにし、噛むという行動を強化しないようにしましょう。

 

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【3】吠え・噛みつきへの「Tタッチ」を活用したアプローチ

私がトレーニングやシッティングの仕事で「吠え」「噛みつき」のある犬のお宅に伺う際は、まず飼い主さまからワンちゃんについてかなり細かくお伺いします。そこで飼い主さまとワンちゃんの関係性がどんな感じなのかを知り、実際にワンちゃんの行動も見ていきます。

 

飼い主さまが、「行動問題がある」と思っている犬達には、臆病さんが多いように思います。

臆病な子になってしまった原因には、各家庭の生活環境も大きく関わっています。例えば人が「良し」と思ってやっていたことが犬にとっては「不快」だということは多々あります。人間社会で生きていくためには必要なことも、犬にとっては本来必要がないことだからです。

 

臆病な犬にアプローチする際、私は「Tタッチ*」を活用しています。

(「ラマのTタッチ」-ホリスティックケア・カウンセラー養成講座テキストより-)

 

Tタッチは犬自身に「自分が落ち着いていられるにはどうしたらよいか」を学んでもらうためのボディワークで、怖がり・神経質などの犬をリラックスに導くものです。トレーニングにTタッチを上手に取り入れることによって、犬にストレスがかからないポジティブなトレーニングを行うことができます。即効性が見られず半信半疑の飼い主さまもいらっしゃいますが、少しずつ行うことで着実に変化がみられます。

(*Tタッチはホリスティックケア・カウンセラー養成講座で学べます)

 

Tタッチを始める前に、犬の行動をよく観察し、今どういう気持ちなのかを考えます。例えば「私に恐怖を感じてる?」「興味を持ってくれている?」「遊びたいけど遠慮してる?」などなど、犬のカーミングシグナルを見ながら読み取っていきます。こちらが犬に対し一歩近づいた時の反応もよく見て、どうやったらお友達になれるかをひも解いてきます。

手の臭いを嗅がせる時も、顔の真正面からではなく横からそーっと出します。自分から犬の方に手を近づけず、犬が近づいてきてくれるまで待ちます。犬が手をクンクンと嗅いでくれたら、それで終わりにします。「自分は決して怪しい者ではないよ」と、犬にとって「良いイメージ」で初対面を終われるようにするためです。このように犬にストレスがかからないよう、少しずつアプローチしていくことが重要です。

 

私の存在を受け入れてくれたら、次にTタッチの登場です。手の甲や指の背を犬の皮膚につけて円を描く「ラマのTタッチ」をおこないます。「ラマのTタッチ」は臆病なワンちゃんに最初に行うTタッチとして最適です。円を描かれることを嫌がるワンちゃんもいますが、そういう場合は、手の甲をつけるだけにします。

 

Tタッチにはたくさんの種類がありますが、全部を行う必要はありません。犬の気持ちに合わせ、状態をよく見ながらサポートしてあげましょう。

 

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・Tタッチ:動物をリラックスさせ、人との絆を深めるタッチケア
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小口 美奈(おぐち みな)
Doggyheart代表

ホリスティックケア・カウンセラー、ホリスティックペットシッター
PLAYBOW Dog Trainers Academy 認定ドッグトレーナー
社)日本ペットセラピー協会 免疫マッサージセラピスト師
社)日本ペットセラピー協会 免疫マッサージ講師
日本ペットシッター協会 認定ペットシッター師 会員番号6064号
動物愛護社会科検定・基礎級免許資格所持

JAPANペットケア協会 老犬介護スペシャリスト資格所持
JAPANペットケア協会 ドックリハビリトレーナー資格所持


ホリスティックケア・カウンセラー養成講座では、犬と猫の「行動学」「本来の欲求やストレスに感じること」「ストレスを与えない関わり方」、Tタッチやアロマテラピーなどの「ストレス軽減の方法」などについて学びます。

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