受講生の声Voice
齋藤 きよみさん
「ドッグトレーナーの敷居をもっと低く。」犬と飼い主の橋渡し役になりたい
大阪を中心に活動する齋藤きよみさんは、「のんたんといっしょ」という屋号でドッグトレーナーのスキルとホリスティックケア・カウンセラーの知識を活かして活躍中です。
取材当日の齋藤さんは、緑豊かな大阪城公園で、お客様からお預かりしたパートナー・つくねちゃんの「社会化ピクニック」と称したトレーニングのお仕事中でした。「犬に会うと吠えること」がつくねちゃんの今の課題だそう。他の犬が近くを通るたびに、吠えなかったら小さなトリーツをあげて褒める、ということを繰り返していました。
そんな齋藤さんに、お仕事のやりがいや課題、目標などをお聞きしました。
犬をトレーナーに預ければ、お利口になって帰ってくる…?
私はいわゆる「出張トレーナー」ですが、一般的にイメージされるトレーナーとは少し違うことをしているのではと思います。
日本では、トレーナーというとまだまだ敷居が高いイメージがあると思っていて、そのハードルを下げたいと考えています。また、「犬をトレーナーに預ければお利口になって帰ってくる」というイメージをお持ちの方も多いのかなと思いますが、トレーニングは、人と一緒に生活する犬が幸せに暮らすための一つの手段であり、犬目線に立って行うものでありたい。だからこそ、飼い主の方に愛犬との接し方や考え方をしっかりとお伝えできるサービスがしたいんです。
ですので、この社会化ピクニックやプライベートレッスンなどのトレーニングサービスはもちろん、飼い主の方とわんちゃんが一緒に参加できるハイキングやクリスマス、忘年会といったイベントも行っていて、そこで犬談義や質問への受け答えをしています。先日は年明けにオンライン上で集まって「愛犬ともっとなかよくなるための抱負を立てよう!」というワークショップもしました。
トレーニングの根底に「ホリスティック」な考え方
2015年にホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得しました。「犬との暮らしをトータルでサポートできるようになりたい」という目標のために必要だと考えたからです。ホリスティックケアの考え方はトレーニングの基本思想と同じ。「広い視点をもって考える、根本原因を探る」という考え方が今の仕事に活きています。また、トレーナーであっても飼い主の方から食事などの質問を受ける機会があるので、一定レベルの回答ができるようになったのは勉強して良かった点です。
思い悩んだ店長時代。「理想の世界」を追い求めて独立
私は、最初からペット業界にいたわけではないんです。OLだった20代、漠然と「このままでいいのか」と感じていた頃、犬が好きだったことを思い出し、思い切って犬との暮らしを始めました。しかし愛犬(のんたん)との生活は思い描いていた楽しい日々とは大きくかけ離れ、不便や苦労を感じることが多々ありました。でもいつしか「同じように悩み、苦しんでいる飼い主と犬との橋渡しをしたい、犬に関わる仕事がしたい」という気持ちが芽生えていました。
犬との暮らしをトータルでサポートできるようになることを目指していたので、トレーナーの資格取得はそのための通過点でした。平日は関西でOLを続け、週末に東京のトレーナー養成学校に通い、資格を取得。縁あって学校が運営する犬の保育園スタッフに就職しトレーナーデビューしました。その後、大阪への出店が決まり、立ち上げメンバー兼店長として勤務することになったんです。
店長時代には、集客や人材育成も任されていたので、本当にいろんな経験をさせてもらいました。ただ、トレーナーとしてのスキルがまだまだの自分が、マネージャーとしてのスキルも求められたことや、飼い主の方がどうしてもトレーナー任せになりがちなサービススタイルだったことで、「自分が思い描いていた道とは違う」という気持ちが大きくなっていきました。また、忙しすぎて愛犬と過ごす時間が短くなり、犬を幸せにしたいと思って入った世界なのに自分がそれを実現できていない、という矛盾を感じるようになったんです。
結局、3年で退職し、3ヶ月後には独立していました。
共感する人が来てくれる。一方で、課題も
今の仕事は大変なこともありますがとても楽しいです。特に痛感しているのは、インスタで自分の思いを発信すると、それに共感してくれる方が集まるので、自分が理想とするサービスを実施しやすいということです。イベントも自分が楽しみながらやれているので、ありがたいなと思っています。
ただ、逆にいうと、少数派の人にしかサービスをお届けできていない、ということでもあります。だから収入も十分じゃないんです。お客様の口コミによる利用者も増えてきていますが、まだまだなので集客は課題ですね。種まきのために、インスタで、フォロワーさんに向けてライブ配信を行ったり、自サイトでも集客できるように準備を進めたりしています。
また、私はトレーナーという活動を通して、犬が快適に幸せに暮らせる世の中にしたいと考えていますが、1人でできることには限界があると思っています。だからこそ獣医師やトリマーの方々、ペット業界以外の方とも連携する必要性を感じています。
今は、そんな方々とオンライン座談会で情報交換やお悩み相談をし合い、横のつながりを強める試みを行っています。
「犬の視点」を伝え続けたい
飼い主の方に、もっともっと「犬との向き合い方」を伝えていきたいと思っています。例えば、「愛犬にお散歩で横について歩いてもらいたい」という方がいた場合、それによってわんちゃんと飼い主の方がwin-winになるならいいんですが、そこまで考えられていないケースが多いからです。お散歩は犬にとって大きな楽しみのひとつなので、横について歩くばかりでは匂いをかぐこともままならず、存分にお散歩を楽しむことができません。もちろん、お互いの安全のために教えておくことはお勧めしますが、それだけに固執してしまっては犬のニーズを満たし、犬の生活の質を向上することには繋がりません。私はこの、「犬の視点」をしっかりと考えてもらえるよう、飼い主の方の意識の底上げ・気づきを得るきっかけを提供できたらいいなと思っています。
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