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2019年03月19日(火)

豆知識

災害が起こった時に犬・猫に起こる問題1

この3月11日をもって東日本大震災から8年が経過しましたが、ここ数年は震災をはじめ、さまざまな大規模自然災害が各地で発生しており、いつ自分の身に起きても不思議ではない状況になっています。

犬や猫と暮らしている場合、災害時には「自分たち人間」に加え「動物たち」の安全と健康を守る必要がありますが、実際には飼い主の状態・動物の状態・受け入れ先の状況・そもそもの生活環境などさまざまなハードルによって思い通りにはいかず、これまでの災害ではときには動物の命が犠牲になることも多々ありました。

そんな過去の経験と学びから状況は少しずつ改善されていますが、十分ではないというのが実情です。ですので、その状況を変えていくべき主体者の1人は、政府や地方自治体だけでなく、私たち動物と暮らすオーナー(飼い主)、ペット関連職従事者でもあります。

そこで、まずは「災害時、犬や猫にどんな問題が起こりうるのか」を、当講座の講師・羽尾健一先生(獣医師/プレマ動物ナチュラルクリニック院長)による阪神淡路大震災・新潟中越地震での動物救護を振り返ったブログから抜粋する形で、2回に分けてご紹介します。

災害が起こった時に犬・猫に起こる問題1

【1】パニックになる

阪神淡路大震災のときは、とにかくパニックになる犬・猫が多かったです。私が体験した、阪神淡路大震災のときの動物救援のボランティア活動は、地震規模が大きく、また街の様子もまるでゴジラがそこで戦いを繰り広げたような、映画の1シー
ンをみているような中での救援活動でした。大きな地震、立て続けに起こる余震に怯えているコンパニオン・アニマルたちも、パニックになって鳴き続けたりしている子が多くいました。

【2】異常行動をとる
【1】と重複するかもしれませんが、パニックになったり強いストレスを感じることによって、鳴き続ける、同じ方向にグルグルと回る、うなる、(猫の場合毛を逆立てて人を寄せ付けない)咬む などの異常行動がみられました。

 

【3】病気になる
人と同じく、高齢の子や元々持病のある子は、地震前には元気だったのに病気になったりしていました。理由としては、下記【4】のストレスや疲労などが重なったためと考えられます。

 

【4】持続的なストレス
持続的なストレスについては、繰り返される余震とやはり家ではない場所(避難所や救護所)での生活を余儀なくされているということからが大きかったと感じます。知らない人、知らない場所、いつもとは違う風景、こうした中で持続的ストレスから体調を崩すコンパニオン・アニマルも多くいました。

 

【5】災害時・避難時のケガ
災害時に倒れた建物やモノの下敷きになったり、飛んできたガラスの破片や瓦礫で手足に傷を負う子もいました。また、避難時に残骸物を踏んだり、余震によって上からモノが落ちてきたり、人が一気に1つの場所に押し寄せたりしたために足を踏まれてケガをした子もいました。

 

【6】持病がある場合の悪化
持病がある場合は、こうした事態になるとまず、発作などが頻繁になったり、今まで治まっていた症状が再発したりということが多くみられるということが災害救助ボランティアをして一番感じた点でした。

 

【7】行方不明になる

(家が倒壊したり、街の様子が急変したことにより視界がついていかない、災害後の火事や降雪などで匂いの分別ができなくなる、パニックになり帰れなくなる 等)
まず、避難所自体は、コンパニオン・アニマルの同伴は原則的には不可であるため、避難所の運営責任者(ボランティア・リーダー)の裁量で、コンパニオン・アニマルを避難所の中にも入れていい避難所と、全くダメというところがありましたので、ただでさえ、パニックやストレスが多くなっているところに、家族と離れて過ごさなくてはならないコンパニオン・アニマルは、精神面でもかなり負担が大きかったであろうと感じました。

また、中には(特に高齢者に同様のことをした人が多かったのですが)意図的にリードを放し、「逃げろ」と犬たちを逃がした人も少なくありませんでした。高齢者の人々は自分たちのことで精一杯になることが必須であると考え、将来を悲観し、「『命だけでも助かって欲しい』とリードを放してわざと逃がしました。」という方のお話も多数聞きました。その子たちを後になってから探す方も居れば、家が倒壊してしまい仮設住宅への入居を余儀なくされた方や、地震によって病気が悪化したり、ケガをされて動けなくなった方などは、「誰かにみつけてもらって、新しい家族と新しい生活を始めてほしい」そう願っている方もいました。しかしながら、動物救護センターに保護された子の全てが、新しい飼い主に引き取られたり、元の飼い主に戻されるわけではありませんでした。
多くの犬猫たちは、行き場がなくやむを得ず殺処分されてしまったことは、本当に残念な事実です。


【8】飼い主と離れてしまった放浪コンパニオン・アニマルの野生化
【7】で保護されなかったコンパニオン・アニマルは2週間ほど経つと野生化していっているという声が多く聞かれました。そうした子は捕獲の対象となり、やはりやむを得ず殺処分という道を辿ることが多かったようでした。


【9】やむなくコンパニオン・アニマルを里子に出さなくてはいけなくなる

(「家が倒壊して復旧に時間がかかる」「飼い主が死んでしまう」「飼い主がケガを負ったり病気になってしまい、動けなくなる」などにより)

里子に出されたコンパニオン・アニマルと里親希望の方のコーディネイターもさせて頂きました。子犬や若く元気な子や純血種の子という希望が多く、災害時であるのに、里親希望の方でも無条件に引き取ってくださるという方は少なく、条件や希望を言ってこられる方が多かったため、里親希望のつかなかった子のその後は県によって処分の道を取ったことを後から聞かされ、涙のにじむ思いでした。


【10】災害規模が大きいほど人間の救助が優先となるため、救援活動に遅れがみられる
災害規模が大きくなるほど、やはり人命優先になるのはやむを得ないとしても、動物の救援活動については、全国からボランティアの希望がたくさんあるにも関わらず、県や自治体の対応が遅いという感じは否めませんでした。


【11】被災動物の数は地震後日にちが経つほど多くなるため、受け入れ先がいずれも満杯の状態になってしまう

(やむなく、殺処分された子たちもたくさんいました。)
日にちが経つほど、実際保護する動物の数は増えていきます。それでも受け入れの対応ができる施設は限られているため、里親探しと並行しながらでも、傷ついたり、病気のある子、障害を持っている子などはもらい手がつかないという悪循環で、やはりこれも多くの殺処分に繋がってしまった要因であったのではないかと、振り返ることができる事実だと感じています。



動物が被災したときに起こりうる問題は、本当にたくさんあります。これに対して、私たちに今何ができるでしょうか。次回は、「避難所で犬・猫に起こる健康問題」についてお届けします。

出典:「プレマ動物ナチュラルクリニック」ブログ
~阪神淡路大震災と新潟中越地震で、被災動物と接した経験から~

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